トーキング・ヘッズ「psycho Killer」
ニューヨークのパンク・シーンで、知的なサウンドで異彩を放ったトーキング・ヘッズ。「psycho Killer」は、デビュー・アルバム『Talking Heads: 77』(1977年)に収録された彼らの代表曲。映画では列車内でのミュージカル・シーンで歌われた。ソ連時代に政府内で海外のロック・バンドのブラックリストが作成されたが、そこにはトーキング・ヘッズの名前も入っていたとか。
2016年にノーベル賞を受賞した、アメリカのロック・シーンを代表するシンガー・ソングライター。マイクは仲間からルー・リードやボブ・ディランと比較され、「お前は何を歌うんだ」とつめ寄られる。国家から歌詞をチェックされるなか、ロック・ミュージシャンとして何を歌うのかは重要な問題だったに違いない。マイクの部屋にはディランのアルバム『Planet Waves』(1974年)を模写したポスターが貼ってある。
ニューヨークのパンク・シーンから登場した人気バンド。紅一点の女性ヴォーカル、デボラ・ハリーが新時代のセックスシンボルとして注目を集めた。マイクが手描きでジャケットを模写しているのは彼らのアルバム『Eat to the Beat』(1979年)。マイクが言っている「いつでもいいから電話をかけて」という歌詞の曲は、全米1位を記録した彼らのヒット曲「Call Me」(1980年)のこと。
「パンクのゴッドファーザー」とも称されるアメリカン・ロックの生きた伝説。「The Passenger」は、デヴィッド・ボウイがプロデュースを手掛けた『Lust for Life』(1977年)に収録された曲。ヴィクトルとナタリーが、マイクのために一杯のコーヒーを運ぶミュージカル・シーンで歌われる。
パンクやニュー・ウェイヴに影響を与えたニューヨークの伝説的なバンド。マイクはヴィクトルが書いた曲「8年生の少女」を聴いて「初期のヴェルヴェッツみたいだ」とコメント。アンディ・ウォーホルがプロデュースしたファースト・アルバム『The Velvet Underground and Nico』(1967年)に収録された「I’m Waiting for the Man」を聞かせる。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのヴォーカル/ギター、ルー・リードのソロ・アルバム『Transformer』(1972年)に収録された曲。ルー・リードの代表曲で、『トレインスポッティング』(1996年)、『アランフエスの麗しき日々』(2016年)などのサントラにも使用された。劇中ではマイクが雨に濡れながらアパートに帰宅するミュージカル・シーンで歌われた。また、マイクがヴィクトルにルー・リードのアルバム『Berlin』(1973年)の歌詞を読ませるシーンもある。
先鋭的な音楽性でロック・シーンに大きな影響を与えたイギリスのミュージシャン。フリーマーケットでヴィクトルがナタリーに贈ったポスターは、ボウイの『Low』(1977年)のジャケットを描いたもので、マイクは別のシーンで『Aladdin Sane』(1973年)のジャケットを模写している。また、マイクの仲間がお土産に持ってきたのは『Scary Monsters and Super Creeps』(1980年)で、そこに収録された「Ashes to Ashes」が別のシーンで流れている。ボウイは二人にとって重要なアーティストの一人だった。
グラム・ロックを代表するイギリスのバンド。カリスマ的な人気を誇ったヴォーカル、マーク・ボランの事故死によって解散した。ヴィクトルがフリーマーケットでマーク・ボランの絵を売っていて、別のシーンではT.レックスの代表曲「Children Of The Revolution」(1972年)がBGMに流れている。モット・ザ・フープル「All the Young Dudes」に合わせてジャケットのマネをするシーンでは『The Slider』(1972年)が登場したりと、デヴィッド・ボウイと並んでマイクやヴィクトルのお気に入りだったようだ。
イギリスにパンク革命を起こしたロック・バンド。ヴィクトルのバンド、ガーリンと双曲面が練習している時に、「セックス・ピストルズみたいな感じでいこう」とアイデアを出している。またマイクの部屋には、ピストルズと並んで人気があったイギリスのパンク・バンド、クラッシュのポスターが貼ってあり、彼らがパンクからも影響を受けていたことがうかがえる。
70年代に活躍したイギリスのロック・バンド。デビュー時はポップなサウンドだったが、やがてハード・ロックなサウンドへ変化した。マイクのセリフの中に登場する「The Lies In Your Eyes」は、彼らのサウンドがヘヴィーになった時期、1976年のヒット曲。
イギリスのニュー・ウェイヴ・バンド。きらびやかなシンセサを使ったダンサブルなサウンドで80年代にアイドル的な人気を得た。リズムボックスを使おうとしたヴィクトルに、マイクは「デュラン・デュランみたいになるぞ」と批判する。マイクのロックに対するストイックな向き合い方がわかるシーンだ。
パンクに影響を与えたイギリスのロック・バンド。「All the Young Dudes(すべての若き野郎ども)」は彼らのファンだったデヴィッド・ボウイが1972年に提供した曲で、バンドにとって最大のヒット曲(全英3位)となった。映画ではマイクの仲間たちがこの歌を歌い、マイクの部屋に飾ってある名盤のジャケットのマネをする。この映画はロックに情熱を捧げた「若き野郎ども」の物語、そんな監督の想いが伝わってくるようだ。